細胞を発見した人は誰?

『細胞』は今やだれでも知っている当たり前の言葉で、小学校の理科で登場する知識です。活性酸素は細胞内で作られるので、まずは細胞とはなに?から始めましょう。

動物細胞のイメージです

 細胞とは何でしょうか。実は、生物が細胞でできているという概念が登場したのは、比較的最近(あくまでも、生物学的にはですよ)で、17世紀のことでした。当時、ドイツに住んでいたロバートフックという人物が、コルクを観察して考え出しました。あの、ワインの栓に使われているコルクですよ。

皆さんご存知ワインのコルク栓です

 もし近くにコルクがあればよく観察していただきたいのですが、コルクは小さな空間の集合だということがわかるはずです。フックはその様子が小部屋に似ていることから小部屋(教会の)=Cell=細胞と名付けました。

 しかも、ロバートフックは顕微鏡まで自作してコルクを観察したそうで、現代の科学者とは意気込みが違います。もちろん、手作りの顕微鏡ですから、当然、性能の良いものではなかったはずです。フックはコルクを薄く削り、自作の顕微鏡で観察をしたのですからその執念に頭が下がります。

薄くスライスしたコルク。小部屋の集合に見えますよね。

 しかし残念ながら、フックが観察したのは厳密に言えば死んでしまった細胞でした。彼が観察した部分は『細胞壁』と呼ばれる植物細胞が持ている、いわば細胞と細胞の境界線だったんです。

 余談ですが、フックは物理学者でもありました。高校の物理でボイルの法則を習った記憶は残っていますか?私は物理は全くの門外漢なので、記憶の片隅にもありませんでした。フックはボイルの弟子でもあり、気体の体積と圧力の研究もしていたようです。当時の科学者は、多分野に渡って優れた業績を残しています人が多いのです。

 生きた細胞を始めて観察したのはそれから2世紀後の1838年でした。ドイツ人植物科学者シュライデンが植物の細胞を観察し、生命現象を営む最小単位が細胞であることを発見しました。シュライデンはきっと、下の写真のような図を見たのでしょうね。

タマネギの細胞です

 その翌年、1839年にはドイツ人動物学者シュワンが同様の現象を動物でも見出しました。そして、生物の営む生命現象の最小単位を細胞とする考え方を細胞説と呼ばれるようになり、現在でも彼らが発見した概念は使われ続けています。

 ところで、ゾウリムシのようにたったひとつの細胞で、運動、栄養、消化、なんでもやってのける奴らがいます。このような生物を単細胞生物と呼びます。

小学校理科でも有名なゾウリムシ

 また、センチュウと呼ばれる体長1mmほどのムシがいます。センチュウは一般社会ではあまり有名ではありませんが、ノーベル賞受賞に三度も貢献してきた、生物学的には重要な生物です。生物屋は他の線虫と区別するために、このノーベル賞に貢献した線虫をシー・エレガンス(C.elegans)と呼んでいます。シー・エレガンスの体は複数の細胞でできていますから、ゾウリムシほど単純ではなく、筋肉、神経、生殖器官などの組織・器官に分化しています。そして、驚くことに細胞の数が正確にわかっていて、雄が959個、雌が1031個です。この数字は1960年代(私が生まれた頃)の生物学者が根気よく調べて行った結果です。驚くことに、細胞数だけではなく、それぞれの細胞の役目まで解明されています。

 ちなみにヒトは、組織・器官の役割分担がさらに複雑で、37兆個くらいの細胞があります。

ヒトは37兆個の細胞でできています

 微生物も、ゾウリムシも、線虫も、ヒトも生きていく上でエネルギーを作り出す必要があります。エネルギーが枯渇することは生命活動の停止、つまり死を意味するからである。

 エネルギーを作り出すために、酸素を使う生物と使わない生物がいます。なぜなら、生命が誕生した太古の地球には酸素がなかったため、初期の生物は、酸素を使いたくても使えなかったのです。後に、地球上に酸素ができ、酸素を使って効率よくエネルギーを作れるようになりますが、残念ながらその副産物として毒性の強い活性酸素が生じてしまうわけです。

 人体と細胞の関係を表した本は坂井建雄先生の『世界一美しい人体の教科書』がおすすめです。とにかく収録れている写真が美しい。芸術の域です。もちろんわかりやすいですし。

坂井建雄先生著
『世界一美しい人体の教科書』

カラー新書 世界一美しい人体の教科書 (ちくまプリマー新書) [ 坂井 建雄 ]

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