エネルギー工場のミトコンドリアから活性酸素が出るのだ!

昨日の話しの続きになりますが、ミトコンドリアはブドウ糖などの燃料を酸素と一緒に燃やして、エネルギーを作り出す工場であるお話をしました。ミトコンドリアは生産効率が優れた工場ですが、 エネルギーを取り出す最終段階である、電子伝達系でATPにれなかったロスエネルギーが出てしまうというところでお話が終わりました。エネルギーのロスは産生したエネルギーの1%程度と言われています。最新型のガソリン機関のエネルギーロスは40%程度あるそうですので、ミトコンドリアのエネルギー変換効率の良さが改めてわかることでしょう。

 では、ロスをしたエネルギーはどこに行くのでしょうか?ミトコンドリアから漏れでたエネルギーは主にに電子ですから、エネルギー量は強力です。漏れた電子たちは、近くにいる酸素の仲間たちと結合してしまい、活性酸素の仲間たちを作ってしまいます。すると、本来安定・無害であり、生命維持に必須の酸素が、自分自身を攻撃する恐ろしい物質に変化するのです。。私は、『活性酸素の仲間』という表現をしましたが、活性酸素はその分子構造の違いで数種類存在します。その仲間たちを合わせて『活性酸素分子種』と言います。ROSという言葉も有名になってきました。ROSはreactive oxygen species の略で、活性酸素分子種に近い意味です。

活性酸素分子種の代表選手をご紹介していきます。

スーパーオキサイド          O2

一重項酸素(シングレットオキシゲン) 1O2

過酸化水素              H2O2

ヒドロキシラジカル           ・OH

この4種類がミトコンドリアで作り出される主な活性酸素分子種になります。本来酸素は分子的に安定で、身体を攻撃(損傷)することはまずありません。でも、酸素が余分なエネルギーを受け取ってしまうと、自分の身体に損傷を与えるほど強烈な攻撃をしてしまうのです。

 でも過剰に心配しないでください。我々が酸素呼吸をしてきた歴史は数10万年もあります。その間に、体内で活性酸素分子種を排除・無害化するシステムが出来上がっています。その防御機能が十分に働いていれば、問題はないのですが、加齢や体質によっては、活性酸素からの防御機構が低下することがあり、それが原因で疾病につながることががります。

 さて、活性酸素分子種が何をしているか、どのようにすれば活性酸素から身を守ることができるのかは、炎症のお話をしてからにしたいと思います。炎症反応でも活性酸素が発生します。炎症で活性酸素を作っているのは白血球です。ですから、活性酸素がどのような悪さをするのか、またどうやればその攻撃を防げるのかは、炎症のお話を済ませてからまとめてしたいと思います。

 ここで誤解を招かなように申し上げておきますが、身体を影蝕む、活性酸素源は環境にもあります。

活性酸素源は環境にもある

図にあるように、太陽からの紫外線、工業汚染、放射線、喫煙、ある種の薬剤などからも、活性酸素が発生し、人体を攻撃してくることがあります。この図では、DNAが活性酸素に攻撃されています。DNAは細胞の設計図です。その設計図であるDNAがダメージを受けてしまうと、細胞の性質が変わってしまいます。最悪、人体に害を及ぼす『ガン細胞』になるのです。つまり活性酸素はDNAを損傷させることによって細胞をガン化することもあるのです。

 しかし、活性酸素を過度に恐れる必要はありません。体内でできてしまう活性酸素からのダメージは、体内に備わった防御システムでかなりの部分は守れます。生物がエネルギー産生に酸素を使うようになって以来、その副産物である活性酸素から身を守る手段も身につけています。でも、喫煙、薬剤、放射線など、人体が本来想定していない、外部からの活性酸素の影響を受けることは避けるべきであり、あるいは抗酸化物(後述予定)などの力を借りる必要があるかもしれません。抗酸化物といえばサプリを想像されるかもしれませんが、野菜、果物など優れた抗酸化物を含んだ食品がいくらでもあります。美味しく健康に良い食品で抗酸化力が期待できるのであればそれに勝ることはないと思います。

 以上のように、ミトコンドリアは声明維持のために重要な働きをする器官です。さらに、活性酸素以外でもミトコンドリアの機能に関する研究が次々とに行われており、ここではミトコンドリアの全てにゆいて書くことはできません。そこで、2冊ほど私が読んでためになった本を紹介しておきます。

 一冊目は二井將光先生が書かれた『生命を支えるATPエネルギー メカニズムから医療への応用まで』この本では、ミトコンドリアの構造から出来上がったエネルギー、ATPの使い方までわかりやすく解説してくれています。そして、大事なエネルギー産生器官であるはずの、ミトコンドリアが原因で病気になることがあることなど、センセーショナルな内容も書かれています。

 もう一冊は『ミトコンドリアが進化を決めた』です。ニック・レーン先生の翻訳されています。これまで述べてきた通り、ミトコンドリアが細胞内共生してくれた結果、我々が必要なエネルギーを作り出してくれます。ニック・レーン先生はもっと大胆に、ミトコンドリアがなかったら現存する人類はいなかった、つまりミトコンドリアが進化の方向性を作ったのだと述べられています。そのミトコンドリアは単なるエネルギー工場ではなく、発生、疾病、妊娠など様々な生命現象で役割をになていると説いています。



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