血液細胞は造血幹細胞からできるのである

 毎日投稿してきましたが、正月休みに準備していたストックが尽きました。これからは、週一ペースを目指します。

身体が供えた異物からの防衛システム

 さて、前回、細菌等異物から身体を防御する機構として『物理・化学的防御』と『免疫的防御』の二つがあると話をし、『物理・化学的防御』のお話だけで終わってしまいました。今日からしばらくは『免疫的防御』の主役たちである、白血球のお話をします。

 どなたも健康診断等で採血をされた経験をお持ちだと思います。採血した血液をしばらく置いておくと、黄色をした液体部分と、赤い固形部分に分離します。黄色く見える液体部分を『血清(採血の方法によっては血漿)』と呼びます。

黄色い部分が『血漿』、赤い部分が『血球』

 もちろん、血清部分にも大切な物質がたくさん含まれています。一番多い成分はタンパク質です。タンパク質も色々な種類のものが含まれていて、一番多いのは、アルブミンです。アルブミンは血液の浸透圧調節を行ったり、色々な物質と結合できる性質を利用して、様々な物質を目的地まで運搬する働きがあります。次に多いのはグロブリンで、グロブリンは抗体として免疫に働きます。あとは、血液凝固を行うフィブリノーゲン、鉄を運搬するトランスフェリンなどが主なタンパク質成分です。

 特殊なタンパク質としてCRPというものがあります。体調を崩して血液検査をした時に、ドクターから「CRPが上がっていますから、抗生物質を出しておきましょう」と言われた経験はありませんか?ドクターに説明を求めるのが憚られるもので、CRPが何かわからないまま抗生物質を処方されて帰ってきた経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。CRPというのは炎症時に増加する特殊なタンパク質の名前なのです。つまり、CRPが増えていることは、身体のどこかで炎症が起こっていることを示しています。CRPの結果に加え、症状、白血球数など各種検査データを考慮し、炎症と判断するのです。

 脂質も含まれています。主なものは中性脂肪とコレステロールです。油は水に溶けませんから、コレステロールや中性脂肪はタンパク質の中に詰め込まれて運搬されています。血清は、イオンやビタミン、ホルモンなど、生命活動に必須なものの運搬も行なっています。

 固形部分には赤血球、白血球、血小板が含まれています。健常人であれば、1mmの立方体の中に赤血球が約500万個あります。それに対して白血球は5千個です。つまり固形成分のほとんどは赤血球なので、血液は赤く見えるのです。赤血球の役割はご存知の通り、酸素の運搬です。

血液像

上の写真に写っているのが血液細胞です。どうでしょう、美しくないですか?このような写真を見て「美しい」と感じてしまうオタクな自分が嫌になってしまいますが‥。もちろん、血液が紫色をしているわけではありません。血液細胞に特殊な染色を施し、顕微鏡で写真を撮るとこのように見えます。まず、あまり目立たず後ろに多数ある、少し小さめの細胞が赤血球です。赤血球よりも青味の濃い、赤血球よりも小さな粒々が血小板です。そして、紫色に染まっているのが大きな細胞が白血球です。

 今回、最もお話ししたいことは、赤血球、白血球、血小板、全ての血液細胞は、『造血幹細胞』というたった一種類の細胞からできるということです。血液細胞を作ることを『造血』と呼びます。造血は骨髄、つまり骨の中で行われます。造血幹細胞に色々な刺激が加わって、赤血球、白血球、血小板などになります。造血幹細胞から別の種類の血液細胞になることを分化と言います。身体は、必要な時に、必要な数の、必要な種類の血液細胞に分化させる指令方法を持っているのです。

ての血液細胞は造血幹細胞からできる。

 全ての細胞が造血幹細胞からできていることを利用した治療法が『造血幹細胞移植』です。化学療法や免疫抑制療法で根治が難しい血液がんや免疫不全症に用いられます。造血幹細胞移植は臓器移植で、この治療法では患者さんの完治が目指せます。治療前に患者さん自身の造血幹細胞の機能を低下させておき、ドナーの元気で健康な造血幹細胞を点滴で移植します。すると、患者さんへ移植をした健康な造血幹細胞が患者さんの骨髄で正常な血球を作り始めるのです。

 今日のおすすめの本は、人気俳優の木下ほうかさんが書かれた『僕が血液ドナーになった理由』を選びました。木下ほうかさんは日本骨髄バンクのPR活動にご尽力されています。ご自身も骨髄ドナーとしての経験がおありで、その際の経緯がまとめられています。



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